熱交換器は、2つ以上の気体、液体、またはその両方の組み合わせ間の熱の移動を促進するために、幅広い産業や用途で使用されています。発電、製造からヘルスケア、データセンターまで、熱交換器は熱プロセスの効率、安全性、省エネを改善します。熱交換器には、家庭用の小型のものから、発電所、化学プラント、製油所などで使用される大型の産業用ユニットまであります。そのサイズや容積は、種類や用途、移送する熱量によって大きく異なります。
この記事では、なぜ漏れ検知が重要なのか、プレート式熱交換器(Plate Heat Exchanger/PHE)の効果的な漏れ検査方法について説明します。
プレート式熱交換器の効率と安全性
腐食、熱・機械的負荷、ガスケットの損傷は、プレートに小さな亀裂を生じさせる可能性のある条件の一部です。漏れのない熱交換器は、いくつかの理由から非常に重要です:
- 効率: 漏れは熱伝達流体の損失につながり、熱交換プロセスの全体的な効率を低下させます。漏れのないシステムを維持することでオペレーターは最適な熱性能とエネルギー節約を確保することができます。
- 安全性: 有毒物質や高圧流体にさらされるなど、漏れは安全における重大なリスクをもたらす可能性があります。漏れのない熱交換器はこれらのリスクを軽減し、作業員と環境を保護します。
- コスト削減: 漏れはコストのかかるダウンタイムや修理につながります。漏れのないシステムは、メンテナンスの必要性と運転中断を最小限に抑えます。
- 環境保護: 漏れを検知することで、環境に害を及ぼす可能性のある排出を避けることができます。これは、規制遵守要件が厳しい業界では特に重要です。
これまでの方法
熱交換器のリークを検出するために、長年にわたり様々な手法が用いられてきました。
- 圧力減衰:この方法では、熱交換器を空気で満たし、加圧し、時間の経過とともに圧力が低下するのをチェックします。しかし、圧力減衰は温度変化の影響を受けます。さらに、圧力降下はシステムの気密性の指標にはなりますが、漏れの正確な位置はわかりません。
- 石鹸水:熱交換器を空気で加圧した後、石鹸または洗剤溶液を漏れの可能性のある部分に塗布します。漏れがある場合、一般的に漏れ箇所に気泡ができます。フランジ、継ぎ手、シール、ガスケットの小さな漏れを検出するために一般的に使用されるこの技術は、シンプルで安価ですが、感度が限られているため、非常に小さな漏れを検出することはできません。
- 水没:部品を空気またはガスで加圧した後、水槽に入れて水没試験を行います。現れる気泡は通常リーク箇所を示ます。しかし、気泡の数が多いと正確に漏れを特定することが難しい場合が多いです。水没法では、オペレーターの目から見えない部分も含め、部品のすべての表面を目視で確認する必要があります。
これらの技術は、感度に限界があり、熱交換器をシャットダウンし、その後乾燥させる必要があるため、大規模で複雑なシステム、またはオペレーティングシステムやプロセス内で使用されている熱交換器には適していません。
INFICONからのソリューション
非破壊的で、より感度の高いリーク検知方法は、トレーサーガスによるリーク検知です。このプロセスでは、トレーサーガスとしてフォーミングガス(窒素中に5%の水素)またはヘリウムを使用します。熱交換器のサイズ、要求される処理能力、リークレート要件によっては、蓄積法や真空法が適切な代替方法となります。
蓄積法 | 真空法 | |
リークレート要件 | 水、油 | 冷媒 |
スループット | 低~中 | 中~高 |
部品サイズ | 小 | 中 |
蓄積法
低~中程度の処理能力で水漏れ/油漏れをテストする必要がある小型~中型の熱交換器の場合、アキュムレーションチャンバーでの漏れ検出(蓄積法)は信頼性が高く、コスト効率の高いソリューションを提供します。
このテストは、まず熱交換器を運転圧力のフォーミングガスで加圧し、チャンバー内に設置します。チャンバー内に設置されたファンにより、漏れの場所に関係なく均一な濃度が確保されます。対象物から漏れたフォーミングガスはチャンバー内に留まります。
極めて小さなリークが予想される場合やヘリウムとフォーミングガスの両方に対応するリークディテクターが望ましいあらゆる状況において非常に迅速なリークテストには LDS3000 AQリークディテクターは最高の感度を提供します。プレート式熱交換器にトレーサーガスを充填し、アキュムレーションチャンバーに設置します。LDS3000 AQはチャンバー内のトレーサーガスレベルの上昇速度を測定し、上昇速度が速すぎる場合にオペレーターに警告を発します。
真空法
中~高スループットでのテストが必要な大型熱交換器、または冷媒漏れの検査が必要な部品には、真空チャンバー内でヘリウムを使用したリークテストが望ましいソリューションです。この試験手順では、真空ポンプでチャンバー内を真空にする前に、熱交換器をヘリウムで満たします。漏れがある場合、LDS3000ヘリウムリークディテクターは熱交換器から出るヘリウムガスを検出し、アラーム信号を出します。
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