マイクロGC Fusionによるパイプライン品質の天然ガス中のH2モニタリング

Monitoring H2

パイプライン品質の天然ガス、つまり消費に使用されるガスはメタンの割合が85%以上で、その他低濃度の二酸化炭素、窒素、C2-C6+の炭化水素が含まれます。天然ガスの分析は公共事業会社、エンジンメーカー、家電メーカー、その他の産業用ユーザーを含む様々なユーザーにとって非常に重要となります。

持続可能性を高め、温室効果ガス(GHG)排出量を削減するための最近の取り組みが天然ガスパイプラインへの水素注入の研究につながっています。燃焼しても温室効果ガスを排出しない水素は環境に優しいグリーンエネルギー源となり得るものであり、脱炭素化に向けても有効となります。水素はガスコンロなど現在の消費者向け機器の使用を維持するために30%までしか添加出来ませんが、天然ガス中の水素はガスクロマトグラフィーを使って簡単に同定・定量可能となります。

マイクロGC Fusionは燃料組成の理解や発熱量の計算、その他のガス特性の把握に重要なガス成分データをモル%で測定しレポートします。高品質の分析データは製品開発、性能評価、環境コンプライアンス、レポート作成に役立ちます。精度が高く、小型で分析速度が速いマイクロGC Fusionは、水素を添加した天然ガスのモニタリングに理想的なBTU分析計です。

マイクロGCによるパイプライン天然ガス分析

水素を含むパイプライン品質の天然ガス分析には、10 mのMolsieveモジュールと12 mのQ-Bondモジュールの2つのモジュール構成が利用されます。各モジュールは個別に配管されており、最大限の汎用性を実現しています。

天然ガスのキャリブレーションスタンダードを用い、2モジュール構成のマイクロGC Fusionで保持時間、分離能力、ピークに対するキャリアガスの影響、再現性を測定しました。またこのキャリブレーションスタンダードに水素を1%から30%まで添加し、異なるキャリアガスにおけるピークの挙動と総発熱量の全体的な変化を調査しました。

水素検出におけるヘリウムとアルゴンの比較

ヘリウムは炭化水素と無機ガスに対して優れた感度を提供しますが、水素は例外となります。水素の熱伝導率はヘリウムに非常に近いために感度が低下します。さらに水素の濃度が高くなるとピークが分裂し始めピークの反転も起こり、積分が難しくなり正確性が損なわれます。この現象は注入量にも関係しており、注入時間が長いほどピークが歪む原因となります。

Q-Bondモジュールではキャリアガスとしてヘリウムを使用した場合、優れた感度と再現性を示しますが、Molsieveカラムでは水素濃度が1%から10%の範囲で注入時間が15ms以下の場合にのみ有効なオプションとなります。

水素検出用のアルゴンキャリアガスは、水素に対してより強いシグナルを提供し、広い濃度範囲に亘りより優れた直線性を示しますが、他のすべての化合物に対して感度が低下します。さらにQ-Bondモジュールではブタン、ペンタン、ヘキサン+で反転を示します。負の積分イベントにより、マイクロGC Fusionはこれらの化合物の分析は可能ですが感度は低下します。

キャリアガスの理想的な組み合わせは、クロマトグラムに示されているようにMolsieveモジュールではアルゴン、Q-Bondモジュールではヘリウムとなります。マイクロGC Fusionでは各モジュールでキャリアガスを個別に設定可能で、この設定により水素やその他の天然ガス成分に対して最高の感度が得られます。またピークの反転もありません。

chromatogram
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天然ガス中の水素測定が迅速かつ容易に

天然ガスに水素を添加する場合、Molsieveモジュールを使用して水素の濃度とガスの発熱量への効果を分析する必要があります。マイクロGC Fusionは、2つのモジュール構成と温度プログラミングにより水素とC6+までの天然ガス成分を数分で分析可能です。キャリアガスの選択は重要であり、アルゴンのみ、またはヘリウムのみを使用することも状況によっては可能ですが、最も最適な構成は最高の感度と再現性を得るためにアルゴンとヘリウムの両方を使用することになります。ブタン、ペンタン、ヘキサン+の量が多い場合はRxi-1msモジュールを追加構成する必要があります。

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