漏れ検知のベストプラクティス
漏れ検知のエキスパートによる8つのヒントとコツ
リーク検査は、製造およびメンテナンスプロセスにおける様々なコンポーネントの完全性と性能を確保するための重要なステップです。自動車、HVACR、またはリーク検査が重要であるその他の業界で働いているかにかかわらず、ベストプラクティスに従うことで、時間と費用を節約し、将来的に費用のかかる不具合を防ぐことができます。以下では、あなたがリーク検査をマスターし、正確なリーク検査結果を得るのに役立つ8つのエキスパートのヒントをご紹介します。
1. トレーサーガス充填前の排気
部品をリーク検査用に準備する場合、トレーサーガスを導入する前にテスト部品から空気をすべて抜くことが重要です。排気として知られるこのプロセスは、複雑な形状の部品や細長い内部経路を持つ部品にとって特に重要です。その理由を説明しましょう。
- 内部に空気が残っている：部品内部に空気が残っていると、トレーサーガスがすべての領域に到達できなくなります。つまり、漏れが発生した場合、閉じ込められた空気だけが抜け出し、トレーサーガスは抜け出ない可能性があります。
- トレーサーガスの希釈： 空気とトレーサーガスが混ざると、トレーサーガスの濃度が低下します。例えば、常圧（1気圧）で部品を空気で満たし、同じ圧力でトレーサーガスを加えた場合、部品内のトレーサーガス濃度は50％にしかなりません。これはリーク検知の感度に大きく影響し、小さなリークを発見するのが難しくなります。
空気を抜くことで、トレーサーガスが部品全体を均一に満たすため、より正確に漏れを発見することができます。 事前排気の重要性については、アプリケーションノートをご覧ください！!
2. トレーサーガスの前に水没試験を避ける
トレーサーガス検査の前に部品を水槽に浸すと、漏れはしばしば小さな毛細管として現れ、簡単に水で詰まってしまいます。水はその表面張力のため、このような小さな開口部に留まる傾向があり、長時間の乾燥工程なしに除去するのは困難です。トレーサーガスが漏れに入り込めなければ、漏れを見逃す可能性があります。このような小さな漏れを乾燥させるのは時間がかかるため、検査が遅れ、生産性が低下する可能性があります。
3. 試験エリアの汚染を防ぐために、トレーサーガスを使用する
リーク検査の精度は、トレーサーガスのバックグラウンド濃度を試験エリアで低く抑えることができるかどうかに大きく依存します。試験後にトレーサーガスを環境中に放出したり、充填中に誤ってトレーサーガスを流出させたりすると、バックグラウンドレベルが上昇し、小さな漏れを検出するのが難しくなります。 また、漏れとバックグラウンドのトレーサーガスを区別するために試験を繰り返す必要があるため、リーク試験に時間がかかります。 漏れがないかコネクターをチェックし、不必要なトレーサーガスの放出を避けることで、試験エリアを清潔に保つことができます。
不必要なトレーサーガスの放出がもたらす結果について、興味はありませんか? 当社のアニメーションをご覧ください!
4. トレーサーガス充填前に大きな漏れがないか確認する
トレーサーガスを導入する前に、大きな漏れがないか素早く確認することが賢明です。これは部品を排気し、その真空圧を維持できるかどうかを観察することで行えます。部品が圧力を維持できない場合、環境に多くのトレーサーガスを漏らし、試験エリアを汚染する可能性がある大きな漏れがあると考えられます。大きな漏れを最初に特定し修理することで、不必要な汚染を防ぎ、試験環境がより制御されていることを確認できます。
INFICONのトレーサーガス充填装置は、重大な漏れを検知し、漏れ検知をより効率的にします。もっと詳しく知りたい方はこちら
5. 試験エリアの適切な換気を確保する
予想に反して、ヘリウムや水素などのトレーサーガスは風船のように天井に向かってただ上昇するわけではありません。 むしろ、試験エリア全体に広がる雲のような状態になります。 接続部分が完璧に密閉されていても、接続や切断の過程で多少のトレーサーガスが放出される可能性があります。 これを管理するには、試験エリアの換気を十分に行うようにしてください。トレーサーガスは上に向かって移動する傾向があるため、試験エリアの下部に新鮮な空気を導入し、上部に排気換気口を設けることをお勧めします。この設定により、トレーサーガスを環境から効率的に除去し、低バックグラウンド濃度を維持することができます。漏れ試験エリアとガス充填エリアをカーテンで仕切ることも有効です。
6. 作動圧力と同じ方向でテストする
ラジアルシャフトシールなどの多くのシールは、特定の方向に圧力が加わった場合にのみ適切に機能するように設計されています。これらのシールを逆方向にテストした場合、漏れが生じる可能性があり、シールに欠陥があるという誤った判断を下す可能性があります。動作方向に試験を行うことで、誤検知ではなく、真の問題を確実に検出することができます。
7. 最高使用圧力でのテスト
漏れを正確に検出するには、部品をテストする圧力が非常に重要です。その理由をご説明しましょう。
- 圧力閾値: シールや素材の中には、特定の圧力レベルに達して初めて漏れ始めるものもあります。 コンポーネントが使用中に経験する圧力よりも低い圧力で試験を行なうと、このような漏れを見逃す可能性があります。 一方、コンポーネントが使用中に経験する圧力よりも高い圧力で試験を行なうと、通常運転では決して発生しない漏れが明らかになる可能性があります。
- 動作圧力と大気圧: 大気圧とは、大気の重量によって生じる圧力です。通常、海抜0メートル地点では1気圧(atm)と測定されます。これは、ほとんどの人がよく知る基準圧力であり、多くの圧力測定の基準点として使用されます。動作圧力とは、コンポーネントやシステムが実際に使用されている際に受ける圧力です。使用目的によって、大気圧よりもはるかに高い場合も低い場合もあります。例えば、HVACシステムでは、システム内に冷媒を循環させるために、大気圧を大幅に上回る圧力で動作させることがあります。コンポーネントを最大動作圧力で試験することで、現実世界で発生する可能性のある漏れを特定することができます。これにより、コンポーネントの性能をより正確に把握することができます。
8. 漏れを検出する際は横風を避ける
試験環境における空気の動きは、漏れを検出する際にスニファーをどの程度有効に活用できるかに大きな影響を与えます。温度差やファンからの強制空気によって発生する横風は、トレーサーガスをスニファーの先端から吹き飛ばし、漏れを正確に検出するのが難しくなります。最良の結果を得るには、漏れ試験を行うエリアがこれらの風から保護されていることを確認してください。これにより、正確な検出のための安定した環境が作りやすくなります。
これらのヒントに従うことで、漏れ検査プロセスをより信頼性が高く正確なものにすることができます。古い製品を適切に処分する方法から、試験時にすべてが安全かつ制御されていることを確認する方法まで、各ステップは、ごくわずかな漏れさえも見つけるために重要です。これにより、より良い製品を作り、使用時に問題が起こる可能性を低くすることができます。生産現場でコンポーネントを試験しているか、現場でトラブルシューティングを行っているかに関わらず、これらの実践は、漏れ検出の取り組みから最大限の結果を得るのに役立ちます。
